こんにちは!新聞広告ラボです。
今回はかつて炎上した新聞広告を紹介します。
いずれも掲載直後から「炎上」した広告なので、特に広告主の方は要チェックです
具体的な事例をもとに
・タイプ別の炎上パターン
・なぜ炎上したのか
についても合わせて解説しています
せっかくお金も時間もかけてつくった広告なのに、完全に逆効果になってしまった‥
ということが起きないように、過去に炎上した広告の
傾向と対策をしっかりとつかんでおきましょう。
【5タイプに分類】炎上広告の具体的事例
過去に炎上した広告を調べると、
全部で5つのパターンに分類できます。
【性を侮辱している!】ジェンダー差別につながる広告
1つ目の炎上タイプは、
ジェンダー差別につながる広告です。
広告の炎上理由として、近年最も増えているテーマです。
実際に「広告 炎上」で調べてみると、半数以上がジェンダー差別関連の広告が出てきます。それだけデリケートなテーマだということが判りますね。
事例①:西武・そごう「わたしは、私。」(2019年1月)
<広告の概要>
「女の時代なんて、いらない?」というコピーとともに、女性の顔にパイが投げつけられています。
「女だから、〇〇。」から始まる文章が並び、最後は「わたしは、私。」の言葉で締めくくられています。
この広告の主な炎上理由は、以下のとおりです
<炎上した理由>
・思い切り女性の顔をパイで汚しておいて、「男も女もない」と言われても‥
・結局女性に我慢を強いているだけでは
・女性の権利を勝ち取るために闘ってきた人たちへのリスペクトが感じられない
・生理的に不快
事例②:藤子・F・不二雄プロ「STAND BY MEドラえもん2」(2020年11月)
今日の読売新聞のSTAND BY MEドラえもん2の広告にそれぞれのび太くんとしずかちゃんのメッセージが載ってるページがあるんだけど、それを透かして見ると2人がしっかり手を繋いでるんだよね。こういうの好きだな pic.twitter.com/08vpr97b5n
— えさか (@11esaka_urusai) November 20, 2020
<広告の概要>
しずかちゃんを想うあまり結婚当日になってのび太が逃げてしまう、というストーリーをもとにした広告です。
新聞を透かして見てみると、新郎新婦となったのび太としずかちゃんが手をつなぎ、それをドラえもんが温かく見守っている、という演出です。
クリエイティブの演出も含めて、国民的カップルの結婚には好意的な反応が圧倒的でした!ただ‥一部ではこんな厳しい意見も上がりました
<炎上した理由>
・「選択的夫婦別姓」が叫ばれている昨今、「野比しずか」とは何事か
・しずかちゃんはのび太のことを考えているのに、のび太は自分のことしか考えていない
・結婚に「女の許容」を求めすぎ
【結局「個人でがんばれ」かい!】押し付けがましい広告
2つ目の炎上タイプは、
押し付けがましい広告です。
クリエイティブの性質上、
商品広告よりも企業メッセージ広告に対して、意見があがるケースが多いです。
あなたはどんな時に「押しつけがましい」と感じますか?
事例③:レッドブル「くたばれ、正論」(2021年1月)
<広告の概要>
「成人の日」当日に掲載した、新成人に向けたメッセージ広告です。
若者を鼓舞する、シンプルで強い言葉が並んでいます。
<炎上した理由>
・「正論」がなければ、平和や安全には暮らせない=「正論」には理由がある。
・身勝手な人たちのせいで、自分たちは迷惑しているというのに‥
・オッサンの考えた若者像にしか聞こえない
【お前が言うな!】ブーメラン広告
3つ目の炎上タイプは、
ブーメラン広告です。
この炎上タイプは、広告掲載直後から「お前が言うな!」という声であふれかえります。
どんなに素晴らしい広告クリエイティブだったとしても
広告内容に見合った広告主か
ということは、常に厳しくチェックされています。
広告主は「自分たちは、広告内容にふさわしい広告主か」という視点を常に持つことが、これまで以上に大切になっています
事例④:エイブル「「女性初」が、ニュースなんかじゃなくなる日まで。」(2021年1月)
何度でも声を上げよう。
エイブル、今朝の新聞広告 pic.twitter.com/rrTZb1UIQN— ことばと広告 (@kotobatoad) January 20, 2021
<広告の概要>
ハリス氏がアメリカ初の女性副大統領に就任したタイミングで掲載したメッセージ広告です。
ひとり暮らしの女性を応援するブランド「MAISON ABLE(メゾンエイブル)」のリニューアルも兼ねて掲載されました。
<炎上した理由>
・「女性の活躍」を謳う企業なのに、役員に女性が1人もいない
「どのような企業が出している広告なのか」は、とてもよく見られています。一方で、もちろん「変わろうとしている企業の意志を感じる」と、好意的な見方もありました。
【何にお金を使ってくれとんねん】ムダ遣い広告
4つ目の炎上タイプは、
ムダ遣い広告です。
民間企業が出す広告費=企業自身のお金ですが、
広告主によっては、お金の使われ方を厳しくチェックされています。
行政(=税金)や学校(=学費)など、広告予算が個人と紐づいている場合は特に気を付けましょう
事例⑤:立命館大学「立命館から、アメリカ大統領を。」(2019年12月)
立命館からアメリカ大統領とかいう例の新聞広告、
見開き(2ページ) で8000万くらいかかってて草
俺らの学費何に使っとんねん pic.twitter.com/qmpityIjUb— 青海 (@_ao_umi_) January 2, 2020
<広告の概要>
立命館大学のメッセージ広告です。
グローバルでチャンレンジ精神あふれる人材になってほしいという、大学から学生へのメッセージが「立命館から、アメリカ大統領を。」というコピーに象徴されています。
<炎上した理由>
・自分たちが出したお金を、何に使ってくれとんねん
・広告に1億円近くも使っておきながら、奨学金支出予算は削られ、役員報酬支出予算は増えている。
学生を中心とした疑問の声が巻き起こり、大学への説明責任を問う署名運動も行われました。
【今それ、言う?】タイミング的外れ広告
5つ目の炎上タイプは、
タイミング的外れ広告です。
仮に同じ内容の広告だったとしても、それを掲載すべきではないタイミングがあります。
掲載内容だけでなく、掲載タイミングについてもきちんと検討すべきです。
事例⑥:自民党広島県連「県民の皆様へ 自民党広島県連 再起動」(2021年4月)
<広告の概要>
自民党広島県連のメッセージ広告です。
県民に対して、支援を呼び掛けていますが‥。
<炎上した理由>
・不正選挙(買収事件)が起きたことに対する、お詫びや説明が一切無い。
「まずは説明や謝罪をしてからだろう」という声が多く上がりました
まとめ
今回は「炎上した広告」について紹介してきましたが、
炎上=100%悪ということでは決してありません。
むしろ、反響が全くない無味無臭の広告は、もはや広告では無いとすらいえます。
上記で紹介したような、具体的事例や炎上タイプを通じて
■誰に
■何のメッセージを
■どのような表現で
伝える広告なのかを、改めて考えてみましょう!
①【性を侮辱している!】ジェンダー差別につながる広告
②【結局「個人でがんばれ」かい!】押し付けがましい広告
③【お前が言うな!】ブーメラン広告
④【何にお金を使ってくれとんねん】ムダ遣い広告
⑤【今それ、言う?】タイミング的外れ広告
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